流通業に乱世 大衆薬販売 改正薬事法でコンビニ、家電も医師の処方箋(せん)がいらない風邪薬などの一般用医薬品(大衆薬)販売の規制が6月の改正薬事法で緩和されるのに伴い、新たな収益を確保したいコンビニエンスストアが相次ぎ参入するほか、家電量販店も対応を強化する。調剤薬局と組むことで、消費低迷の中で生き残りを図りたい考えだ。一方、市場を独占してきたドラッグストアや薬局も24時間営業など営業時間の拡大で迎え撃つ構えだ。大衆薬販売は、高齢化社会を背景に安定収益につながるだけに、“異業種”の参戦によって、業界の垣根を越えた戦国時代を迎えることになる。 ◆登録販売者を育成 従来の薬事法では薬剤師がいなければ大衆薬は販売できなかったが、改正薬事法は高卒以上で、薬剤師の下で1年間の販売実績があり、試験に合格した「登録販売者」がいれば、販売できるようになる。大衆薬販売は、不況下でも成長が見込まれる有望市場だけに、流通各社も熱い視線を注ぐ。 セブン&アイ・ホールディングスは、調剤薬局最大手のアインファーマシーズとの合弁会社を設立し、今秋以降にコンビニとドラッグストア、調剤薬局を組み合わせた融合店舗を出店する。将来はセブン-イレブンでの販売もにらむ。 ファミリーマートは昨年9月から都内の直営2店舗で、薬剤師を採用して実験的に販売を始めた。登録販売者の資格取得を目指す研修の場としても活用する。同社の上田準二社長は「すべての店舗(約7000店)に広げるには時間がかかるが、まずは登録販売者を地道に増やしたい」と話し、人材育成をてこに今後3年間で100店の取り扱いを目指す。 ローソンも調剤薬局のクオールと提携し、今夏以降にコンビニ店舗で大衆薬を取り扱う。クオールから登録販売者が出向し、都内の7直営店で開始する。足元は、たばこ自動販売機用成人識別カード「タスポ」を持たない喫煙者の来店が増えるコンビニ業界だが、今夏にはその効果もなくなるため、大衆薬販売を集客のための重要なツールに位置付ける。 家電量販店も意欲的だ。最大手のヤマダ電機は、郊外型店を中心に約40店舗で薬剤師を使って大衆薬を販売しているが、今後は従業員を登録販売者として順次育成する方針。コジマも2010年3月期までに取り扱い店舗を10%以上増やす計画だ。 ◆24時間営業で対抗 一方、迎え撃つドラッグストアは販売登録者を活用して24時間営業を打ち出す。最大手のマツモトキヨシは夜間の利用者が多い都心部の約10店舗を、スギホールディングスも約40店舗を24時間体制とし、コンビニなど新規参入組に対抗する。 大衆薬市場をめぐる新規参入は、消耗戦との見方もあるが、「女性客中心のドラッグストアと、男性客が多いコンビニの新規参入で相乗効果につながる」(業界関係者)と市場拡大の可能性も秘めている。(佐竹一秀) |
![]()
|