変幻自在の出会い

変幻自在の出会い

飼っていた亀が家出した。窓を閉めきった部屋からどうやって逃げたのだろう。 ワープか。それ以外考えられない。僕は三日三晩、町中を走り回ったけれど やがて捜すのをやめた。時々出会いの頃の小さな姿を思い出して、泣いた。 手のひらに乗るぐらいの大きさだからミニ。安易な僕のあたまの中身を覗い たミニは嘲笑った。 「でもそんなところがすきよ」彼女はそうやって、僕をなぐさめる術も持ち合わ せていた。 季節が巡って僕は大人になった。ある夜、煙草を買いに行こうとアパートの階 段を下りていると、カタン... >全文を読む

01/26/10 [ カテゴリ:標準 ] トラックバック(0) コメント(0)

ミーちゃん

近所の奥さんたちが、お昼のワイドショーの話をしている。芸能人の不倫騒動や ら、欠陥住宅やら、忙しく話題が変わる。わたしは家もないし、人のすることにあ んまり興味がないから、うたたねしていたの。 日だまりの中は気持ちがいい。思わず大きなあくびをして、無防備な姿をさらし ちゃった。 夕日が傾く頃になると、近所の子供たちが学校から帰ってきて、ちょっと面倒臭 い。ことわりもなく体中を撫で回すんだもの。わたしがすきなのは、ただでごはん 食べさせてくれる大人たち。なんて、わたしは無一文でも生きて... >全文を読む

01/26/10 [ カテゴリ:標準 ] トラックバック(0) コメント(0)

ふたり

きみとぼくが、ふたりになる前のずっと前。ぼくはひとり、大きな海原を泳ぎつづけ ていた。きみは砂漠を、ひとりで彷徨っていた。 むこうの方に大きなオアシスを見つけたきみは、駆け出すと同時につまずいて転 んでしまった。転んだとき、金色の砂が空中に舞いあがった。ぼくは、海の中にど んどん沈みながら、金色の泡が上へ上へ、のぼっていくのを見ていた。 とてもとても長い時間が経って、ぼくがやっと今のぼくになる頃。 まもなく、きみに出会い、ふたりになることを知らされた。知らされたのにも関わら ず、なん... >全文を読む