変幻自在の出会い
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ミーちゃん

近所の奥さんたちが、お昼のワイドショーの話をしている。芸能人の不倫騒動や
ら、欠陥住宅やら、忙しく話題が変わる。わたしは家もないし、人のすることにあ
んまり興味がないから、うたたねしていたの。
日だまりの中は気持ちがいい。思わず大きなあくびをして、無防備な姿をさらし
ちゃった。

夕日が傾く頃になると、近所の子供たちが学校から帰ってきて、ちょっと面倒臭
い。ことわりもなく体中を撫で回すんだもの。わたしがすきなのは、ただでごはん
食べさせてくれる大人たち。なんて、わたしは無一文でも生きていけるのだけど。
夜になると仲間が公園に集まってくる。知っている顔もずいぶん少なくなった。み
んな老いてしまった。わたしが初めてこの場所に来てから、どれぐらいの季節が
巡ったんだろう。お日さまは、何回も生まれ変わる。何度それを見てきたんだろう。

やわらかい手がわたしを抱き上げた。「ミーちゃん」
呼ばれたわたしは、声の主を見上げた。わたしはこの人を知っている。この人は
どうしてわたしの名前を知っているのかな。
いつの間にか、こどもになってしまった四本の足。さっきよりずっと長いしっぽ。声
もなんだか高くて、わたしがわたしでないみたいだ。みんなはどこ?さっきまで居
た場所は跡形もなく消えている。

ミーちゃんは時々こんな夢を見る。
「あら、ミーちゃん起きたの?」
おかあさんおなかすいたー。そんな一声で、すぐにお腹いっぱいミルクがもらえる
ことを知っている。

01/26/10 [ カテゴリ:標準 ] トラックバック(0) コメント(0)